【真珠の話】


 真珠、それは古くから「男性にはツキを与え、女性には気品と富を与えてくれる」との言い伝えから、月の雫とも天使の涙とも言われる、真珠母貝が作り出す“生きた宝石”といえます。
 真珠は、紀元前数千年から世界のあらゆる文明の中で、美のシンボルとして珍重され、愛されてきました。 わが国では「日本書紀」や「古事記」などに「しらたま」と呼ばれて登場しています。また、真珠は粉にして飲むと不老長寿を保つことが出来るという伝説があり、 エジプトの女王クレオパトラが美容のために真珠を飲んでいたという有名な話もあります。

 真珠は、貝の体内に侵入してきた小石や破片から自分を守るために粘膜で包み、貝殻と同じ成分で侵入してきた異物を包み込んで無害化したものです。 そのため、養殖真珠の発明以前では、天然の真珠はきわめて稀な貴重品でした。 1888年に御木本幸吉が、世界で初めて養殖真珠に成功してから真珠の需要が増え、多くの女性に愛され今日に至りました。

 しかし、近年女性の美貌を引き立たせる真珠のわが国における生産量が激減しています。その原因は、真珠の母貝となるアコヤ貝がウィルスによって大量斃死しているためです。 森林伐採などによる海水の疲弊や土地開発による汚染など、海水環境の悪化により、母貝の元気がなくなり、ウィルスが蔓延するようになってしまいました。 このウィルスは貝のエイズと言われるほど強力で真珠養殖業者から恐れられています。

 そこで真珠研究所は、貝自身が持っている免疫力を活性化してウィルスに負けない元気なアコヤ貝をつくる研究を行っています。 また、基礎データの蓄積として、アコヤ貝の遺伝子の解析をして貝の成長や真珠の形成にかかわる遺伝子を探しています。 これらの基礎データを利用して近い将来、バラのように様々な色のついた真珠や蛍のように優しく光る真珠など、女性にもっと美貌と輝きを与える真珠を皆様に提供できるものと期待しています。